聖書はもともと一冊の書物ではありません。旧約聖書も新約聖書も、多くの書物(巻物)を集めて、編集したものです。旧約聖書は39巻、新約聖書は27巻の書物から成り立っています。39(さんく)・27(にじゅうひち)と言えば憶え易いでしょう。
*旧約聖書
日本語を始め多くの言語の聖書とヘブライ語聖書では、巻物の順序、分類が異なっています。ここでは、ヘブライ語聖書の分類を紹介します。これを見れば、まさしく聖書が一巻本ではなく、多くの巻物を編集したものであることが分かりますね。
・創世記、出エジプト記、レビ記、民数記、申命記
この5巻をトーラー(律法の書)と呼びます。また、伝統的に著者はモーセだと考えられていて、モーセ五書とも呼ばれます。イスラエルの民が守るべき基本的な教え、戒めが記されています。
・ヨシュア記、士師記、サムエル記上・下、列王記上・下、イザヤ書、エレミヤ書、エゼキエル書、ホセア書、ヨエル書、アモス書、オバデヤ書、ヨナ書、ミカ書、ナホム書、ハバクク書、ゼパニヤ書、ハガイ書、ゼカリヤ書、マラキ書
この21巻をネビーム(預言者の書)と呼びます。ヨシュア記から列王記下までが「前の預言者」、イザヤ書からマラキ書までが「後の預言者」とされます。
キリスト教においては、「前の預言者」は「歴史書」に分類されます。それを「預言者の書」とするのは、そこに預言者の活躍が記されているからであり、またその歴史を通じて、神に与えられた律法「トーラー」を忠実に守るよう促し、教える書だからです。
・詩編、ヨブ記、箴言、雅歌、ルツ記、哀歌、コヘレトの言葉、エステル記、ダニエル書、エズラ記、ネヘミヤ記、歴代誌上・下
これらをケトゥビーム(諸書)と呼びます。さらに詩編から箴言までを真理、雅歌からエステル記までを巻物、ダニエル書以下をその他に分類します。
新約聖書で、「律法と預言者」(マタイ7章12節)、「モーセの律法と預言者の書と詩編」(ルカ24章44節)などと言われるとき、それは、まだ「旧約聖書」という呼び名がなかった時の、旧約聖書を指す表現としてそのように言われています。
*新約聖書
編集、分類の仕方は世界共通です。
・マタイによる福音書、マルコによる福音書、ルカによる福音書、ヨハネによる福音書
これらを4福音書と呼びます。マタイからルカまでは、構成がよく似ていることから、共観福音書と呼ばれます。
・使徒言行録(使徒行伝)
イエス昇天後の弟子たちの働きを記した、歴史の書に分類される書物で、ルカ福音書の続編といってよいでしょう。
・ローマの信徒への手紙、コリントの信徒への手紙1・2、ガラテヤの信徒への手紙、エフェソの信徒への手紙、フィリピの信徒への手紙、コロサイの信徒への手紙、テサロニケの信徒への手紙1・2、テモテへの手紙1・2、テトスへの手紙、フィレモンへの手紙、ヘブライ人への手紙、ヤコブの手紙、ペトロの手紙1・2、ヨハネの手紙1・2・3、ユダの手紙
これらは、主イエスの弟子たちによって書かれた書簡です。
ローマからフィレモンまでの13の手紙は、パウロによって書かれました(パウロ書簡)。その内、エフェソ、フィリピ、コロサイ、フィレモンは、パウロが牢獄から書いたので、獄中書簡と呼ばれます。また、テモテ1・2、テトスへの手紙は、教会の指導者テモテ、テトスを指導するために書かれたもので、牧会書簡と呼ばれます。
ヤコブの手紙からユダの手紙までは、宛先が特定の教会ではなく、すべての教会、信徒を対象にして記されたものとして、公同(カトリック)書簡と呼ばれます。
・ヨハネの黙示録
キリスト教の預言の書というべき書物です。
日本語聖書の各書の順番は、鉄道唱歌「汽笛一声新橋を」のメロディーに合わせて歌って憶えると、憶え易いでしょう。原田牧師は小学生の頃、正しく憶えたらお小遣いをやろうと父親に言われて、一日で憶えてしまったそうです。ああ・・
「聖書名目づくし」(鉄道唱歌に合わせて)
1.創(そう)・出(しゅつ)・レビ・民(みん)・申命記(しんめいき)、
ヨシュア・士師(しし)・ルツ・サム・列王(れつおう)、
歴代(れきだい)・エズ・ネヘ・エステル記(き)、
ヨブ・詩(し)・箴言(しんげん)
・伝道(でんどう[新共同訳はコヘレト])・雅歌(がか)
2.イザヤ・エレ・哀(あい)・エゼ・ダニエル、
ホセア・ヨエ・アモ・オバ・ヨナ・ミ、
ナホム・ハバクク・ゼパ・ハガイ、
ゼカリヤ・マラキで39
3.マタイ・マコ・ルカ・ヨハネ伝(でん)、
使徒(しと)・ロマ・コリント・ガラテヤ書(しょ)、
エペソ・ピリ・コロ・テサロニケ、
テモ・テト・ピレモン・ヘブル書(しょ)
4.ヤコブ・ペテロ・ヨハネ・ユダ、
ヨハネ黙示(もくし)で27、
旧新両約(きゅうしんりょうやく)あわせると、
聖書(せいしょ)の数(かず)は66
みなさんも頑張って憶えてみてください。きっと聖書を開くときの助けになります。